「角成らず」が認識できず...電王選FINAL第二局は衝撃の結末でした
プロ棋士vs将棋ソフト・・・。
そんな夢のような対決が行われるのが「電王戦」です。
3月21日に開催された電王戦FINAL第二局では、将棋ソフト「Selene」が人間側の「ある1手」を認識できずにそのまま試合終了というまさかの結末を迎えました。
一体何が起きたのでしょうか?
「電王戦」とは
電王戦は、人間vs将棋ソフトで争われます。団体戦の形式をとっており、5対5で勝ち星を多く上げた方が勝利です。
2012年に(故)米長邦雄永世棋聖が将棋ソフトの世界大会「第21回世界将棋ソフト選手権」の優勝ソフト「ボンクラーズ」と対戦したことが電王戦のはじまり。
翌年からは、5対5の現在の試合形式に変更され、過去3回の試合は全てコンピュータ(将棋ソフト)側が勝利しています。
角成らずが認識できず・・・
今年の電王戦第2局で事件が起きました。
試合展開は一進一退の攻防戦でしたが、終盤になり人間側の永瀬六段が指した1手で勝敗が決しました。
終盤、永瀬六段が王手で「2七角不成」という手を指したことで解説陣やニコニコ生放送の視聴者から大きなどよめきが。(Yahoo!ニュース)
通常、敵陣に打った駒は「成る」ことでより強力な駒となります。
そのため、通常は「2七角成」となるのですが・・・
成ることで明らかに駒が強力になる「飛車・角・歩」は、「打ち歩詰め」という反則を避けたいというごく一部の例外を除き、実戦ではまず登場しない異例の手。(Yahoo!ニュース)
(打ち歩詰め:自分の歩を打って相手の王を詰ませる手。禁じ手なので、打ったら負けになってしまう)
つまり、滅多に見られない超異例の1手だったわけです。
将棋ソフト「Selene」はこの1手を認識できず、別の1手を打ったためそのまま永瀬六段の勝利となりました。
なぜ認識できなかったのか
photo by NASA Goddard Space Flight Center
なぜソフトは「角成らず」を認識できなかったのでしょうか?それには、コンピューターならではの理由がありました。
基本的に、将棋ソフトは1手1手を深く考えることで最適な1手を探し出して試合を進めていきます。そのため、邪魔な思考はプログラムされていない場合が多いのです。
「角成らず」は前述したように、試合ではまず登場しない「異例」の手ですから、将棋ソフトの中には「成らず」を認識させないようにしているものも多いそうです。
そのため、今回のようなことが起きたのですね。
まとめ
今年の電王戦は第一局、二局と続けて人間側の勝利となりました。今年は、人間側が将棋ソフトに勝てるかもしれません。
追記:今年は3勝2敗で人間側の勝利となりました!